昔むかし、昭和30年代まで「量り売り」は、ごく普通に暮らしの中にありました。
夕暮れ時、お豆腐屋さんのラッパの音が鳴り響く。
母親が「お豆腐1丁買ってきて。」と子どもにいつものアルミのボウルとお金を渡す。
いつもの場所にお豆腐屋さんの自転車。近所の人が思い思いの容器を持って集まって来る。
「おじちゃん、お豆腐1丁ください」「はいよ、15円ね」
冷たい水からそーっとお豆腐をすくい上げて、ボウルに入れてくれる。
ボウルの水がこぼれないように、そろりそろりと家まで歩く。
こぼさずに家に着いてホッとする。任務完了。
今夜は冷奴。もちろん木綿だ。
あれから高度経済成長を経て、世の中の仕組みは大きく変わって行った。
小売り商店はいつの間にか消え、スーパーやコンビニで買い物をするようになった。
食品がいつでもどこでも、手軽に買える便利で豊かな暮らし。
それを影で支えてきたのは紛れもないプラスチック。
本来感謝されるべき功労者なのに、今の時代大量に溢れ、分解されずに海に広範囲に漂っている。生態系に多大な影響を与え、深刻な環境問題になっている。
このままではいずれ魚よりも多くなるとか。
自分に出来る事はなんだろう。毎日の暮らしを見つめ直してみる。
せめて今から少しでもゴミを減らせたら。
海外のスーパーでは野菜も個包装はされていない。自分が欲しい量を、自前の袋や容器につめて買い物するバルクショップはごく日常の中にある。
そう、冒頭のかつて昭和にあった量り売りの風景だ。そんな昔の面影を残す量り売りのお店が、ここ山梨県にもある。
今月はそんな地球の将来について、包装容器がもたらす「ゴミ問題」に真剣に取り組むお店様をご紹介。
そこには、感性豊かな店主が選び抜いた「本物」だけが並ぶ、地球にやさしく、人にもやさしい食材と雑貨で満たされた世界がありました。
山梨の厳選した食材を提供。地産地消でフードロスを目指す「熊鰹商店」。
まずご紹介するのは、甲府市北口に位置する量り売りも楽しめる「八百屋さん」
外観は八百屋さんとは思えないオシャレな雰囲気で、歩いていると気になって思わず入ってしまいそう。
熊鰹商店さんでは主に山梨県産の新鮮で旬な野菜を提供しており、地産地消やフードロスを目指し、有機野菜(オーガニック)にこだわった山梨県産の「体に優しくおいしい食品」を常に提供。
2階に上がると香辛料や、ミニマルでエコがテーマの生活雑貨も楽しめるので、ついつい時間を忘れて見入ってしまいます。
店主は、消費者の方に県内のおいしい野菜を新鮮な状態で提供する為、自ら生産者の元に仕入れに行くそう。
どの野菜にも生産者の情報が記載されているので安心して購入ができ、生産者と消費者を繋ぐ商店の役割にも力を入れています。
山梨ではあまり馴染みがない県内産リンゴも取り扱っており、試食しながら好みの酸味や甘さに合わせて購入できる。
続いて2階へ。
2階では、主に香辛料や乾物の量り売りをメインに提供しています。
店主は、必要な分だけの量り売りでフードロスを目指し、環境にやさしく、体に優しいオーガニック商品の良さを多くの方に知っていただきたいと話してくれました。
女性の方のご利用が多いそうですが、中には、お酒のおつまみにピーナッツやチョコ等買っていく男性の方もいるそうです。
この機会に今回は、荒居と岩田で一緒にお買い物させていただきました。
お買い物時に容器は持参していなくても大丈夫です。
容器を持っていない場合は並んでいる容器から丁度いいサイズの容器を購入できます。次回はこの容器を忘れずに持って来ればOK。
せっかくなので今回荒居と岩田が購入した商品の一部を公開!!
初めて量り売りを経験してみて、駄菓子屋さんにいるような妙に懐かしさを感じながら楽しくお買い物させていただきました。
量り売り商品は、すべてオーガニック食品を取り扱っているため、(栽培期間中農薬・化学肥料不使用、防腐剤などの添加がないもの)商品の品質維持には特に注意をし、営業している。また、系列グループの「鰹のわら焼き熊鰹」など、山梨県内を中心にいくつかの飲食業態を運営している会社の強みを活かし、グループ全体で、フードロスの削減に取り組んでいると話してくれた店主の小林さん。
熊鰹商店さんでは、今回ご紹介させて頂いた食材以外にも地元の新鮮で旬な食材を取り扱っており、Instagramアカウントでは日々商品ラインナップをアップしているのでチェックしてみて下さい。
地元に根差した県内の美味しい食材を常にアップグレードして提供している熊鰹商店さん。
是非My瓶持って「熊鰹商店」に足を運んでみて下さい。
熊鰹商店
住所:山梨県甲府市北口1丁目3−10
電話番号:070-3965-8131
HP:https://dreammap.jp/shop/kumakatsuo_shoten/
Instagram:@kumakatsuo_shoten
サービス期間/2021年11月15日~2021年12月15日
自然循環型オーガニックファーム「ぴたらファーム」の量り売りのお店「ぴたら商店」。
続いてご紹介するのは、北杜市白洲町に位置する「ぴたら商店」。
「ぴたら」とは、ニュージーランドのマワリ語で「てんとう虫」の事。
「ぴたら商店」の名前の由来は、アブラムシ等の害虫を食べる益虫「てんとう虫」から来ています。
ところで皆様は、「パーマカルチャー」という言葉はご存知でしょうか?「ぴたらファーム」が提案する暮らしのベースにある「哲学」で、オーストラリア発祥の人間にとっての恒久的持続可能な環境をつくりだすデザイン体系のことです。
ぴたら商店は、このパーマカルチャーに惹かれた店主2人の出会いから始まりました。
元々築100年以上のお蚕農家で1階はぴたら商店とファームの母屋、お蚕部屋だった2階は畳を入れて土壁を直しゲストが泊まれる民泊施設に修繕。
ゲストはここに泊りメンバーと一緒に農作業や持続可能な暮らしを実体験できる。
さっそくお店の中を案内してくれました。
商店のコンセプトは「ゼロ・ウエイスト」「プラスチックフリー」「手作りの暮らし」
まずは、ぴたらファームの「へちまたわし」。「へちま」の栽培から「へちまたわし」に加工するまでを一貫して行います。天然素材100%のプラスチックが出ない、とてもエコな商品で食器洗いスポンジやボディブラシとして使えます。
メンバーのしおりさんに出して頂いたシナモンのお茶を頂き、その美味しさに荒居と共に大感激。
「コロナになってから、農業体験にくる方が増え、皆さん凄く真剣に取り組まれています」
と言う彩華さん。
ご案内してくださった店主の彩華さん、皆様ありがとうございました。
大自然と共存し自給自足の厳しい農作業と、手間を楽しむ丁寧で豊かな暮らし。
そこから生まれる心地良い澄んだ清らかな空間と、人が求める暮らしがこの地にありました。
ぴたら商店
住所:山梨県北杜市白洲町横手1118
電話番号:0551-35-2793
<冬季期間の商店営業時間>
土・日曜日:10時~16時
金曜日:14時~16時30分
※冬季は火曜日の営業をお休みしております。
ご来店の際は、マイバック、紙袋、空き瓶、野菜を包める布などをお持ちください。
▼1月は不定休の予定なので、詳細はインスタグラムを参考にしてください。
Instagram:@pitarabulkshop
HP:http://pitarafarm.com/event/direct.php
Facebook:https://m-partners.facebook.com/pitarafarm/
サービス期間/2021年11月15日~2021年12月15日
感性豊かな食材のセレクトが魅力。山梨県で第1号のバルクショップ「仲沢商店」。
最後にご紹介するのは、韮崎市藤井町にある、山梨県で第一号のバルクショップである「仲沢商店」さんです。
店主自らがセレクトした食材や衣類等を販売されています。
お店に並ぶ商品は仲沢さんのこだわりが詰まっています。
ドライフルーツやナッツ、古代小麦のパスタ、無農薬の米、雑穀、豆、スパイス、コーヒー、お茶、粉類(古代小麦や天然重曹、天然クエン酸、セスキ、酵素系漂白剤などなど)、お菓子(クッキー、グラノーラ)、非加熱はちみつなど、無添加、有機栽培、無農薬のものをメインに厳選してセレクトしています。
ナッツ類は試食が出来、お気に入りを少量ずつ購入出来ます。
また、容器に使う瓶やスタッシャーだけでなく、布ナプキン、布おむつ等々も販売しており、バルクショップではありますが、健康につながる商品も店内では販売されています。
素敵な商品をご紹介いただいた後に、仲沢さんに開店までのお話を伺いました。
仲沢さんは、以前ファッション業界にいた時に毎日大量に製造される衣類の端材や包装資材に違和感を感じ「ゴミを減らしたい」と思ったそう。
兼ねてより疑問視していたゴミ問題だけでなく、自身の息子さんがアトピーやアレルギーを持っていたことから、オーガニック食材や自然療法について深く学び、身体に良いモノ・コトを一般の皆様にも知っていただく場所を作りたいと思い、現在の仲沢商店を開く事を決意しました。
そうしてできた仲沢商店さんは、当時山梨県にはなかった本格的な量り売りのお店の第1号店となりました。
そして今回は、仲沢商店さんにVivitBase代表の武原と、今回の特集記事の企画を発案した新人スタッフ土屋が訪問してお買い物。
大好物のカレー作り用のスパイスを最初にゲットする武原。続いて古代小麦のペンネを発掘し、さらに突然、超栄養価高いアマランサスを空瓶に詰める。
一方、大きいマイ空瓶持参の土屋、気になるナッツやドライフルーツを試食し、お気に入りを詰め込み大満足。
以前、弊社でもゑびすや改修時に実施したクラウドファンディングを、仲沢さんもされていたりなど意外な共通点も多く、当時のお互いの話で盛り上がりつつ、楽しくお買い物をさせて頂きました。
<最後に岩田がどうしても伝えたい仲沢さんの想いをFacebookから引用>
「子どもには背中を見て感じてほしいなと。なんでお母さんはこんな面倒臭いお店をやっているんだ、と感じて考えて欲しい。それが一番の正直な気持ち。そして地域の子どもたちにも感じてほしいなと思っています。だから今はなき駄菓子屋の代わりにもなりたい!」
現在、仲沢商店さんに来ている子どもたちが大人になった時、ふと仲沢商店さんの事を思い出してゴミの排出について考え直すきっかけになればいいなと思います。
仲沢さん、ありがとうございました。
仲沢商店
住所:山梨県韮崎市藤井町駒井2667-1
電話番号:050-3701-2667
営業日:不定休 宜しければFacebookでご確認してください。
Facebook:https://www.facebook.com
Instagram:@nakazawa_shouten
サービス期間/2021年11月15日~2021年12月15日
いかがだったでしょうか。
部屋中、捨てられずに綺麗に洗い飾っておいた空き瓶達を集め、総動員して向かった山梨の「量り売りのお店」を体験する旅。
今回「量り売り」を体験して、僅かな期間ではありましたが、スーパーにプラゴミを持ち込む回数が減り、時間と心に少し余裕が生まれました。また、無添加・無農薬食材の「本物」の力は自分の心と身体に充実感を与え、豊かな時間と穏やかな心を得るきっかけを与えてくれた気がします。
自分の暮らしを見つめ、必要な量を必要な分だけ、お気に入りの容器を持ってお買い物。
出来る事から少しずつ。
もし良かったら、あなたも「量り売り」のお店に行ってみませんか。