古くて新しい。民泊施設&レンタルキッチン・シェアキッチン「ゑびすや」を訪ねて

FEATUREDecember.03.2019

2019年11月16日にグランドオープンを迎えた、「ゑびすや」。自家製の三角餅がウリのお菓子屋として歩んだかつての人気店が、お店のシャッターを下ろしてから数十年。静かに息を潜めていた「ゑびすや」に再び魂を吹き込んだのが、VivitBaseです。今回は、VivitBaseが熱き想いをもって完成させた民泊施設&レンタルキッチン・シェアキッチン「ゑびすや」を訪ね、こだわりやおすすめの過ごし方などをお聞きしてきました。


建物の随所に昔のおもかげを残して

前進「ゑびすや」がオープンしたのは、今から70年以上も前のこと。自家製のあんこや塩の豆を入れた三角餅が人気のお菓子屋さんだったと言います。その後、ラーメンやお稲荷さんなどを取り揃えた食堂へと変化を続けながら、甲府の中心で知らない人はいない人気店として長く愛されていました。1階が店舗で2階が住居、そんなどこにでもあるような建物ではありましたが、当時、この辺りで暮らす人々の憩いの場であった「ゑびすや」に、VivitBaseの武原社長は惚れ込み、新築ではなく、敢えてフルリノベーションという形で再建を図りました。そして、付けた名前も当時のまま「ゑびすや」です。
「建物の状態は正直、お世辞にも良いとは言えませんでした。長い間、人の手が入っていないのだから当然のことです。取り壊して新築することを考えた日もありましたが、やっぱり当時のおもかげを残すことに意味があるし、地域の皆さんに今でも愛され続けている“ゑびすや”が、再び賑わう姿をこの目で見てみたいと思ったんです。ずっとお願いしたいと思っていた設計士さんの協力を得たこともあり、着工に踏み切りました。1階がレンタルキッチン・シェアキッチン、2階が民泊施設の新生“ゑびすや”は、約4ヶ月かけて丁寧に作りあげたものです。」
と武原社長。
訪れたこの日は、ゑびすやの完成見学会の日。武原社長ご本人から建物内を案内してもらうことができました。

▲かつての雰囲気をそのまま生かした、新しい「ゑびすや」です

▲設計を担当した、設計士の坂野由美子さんと、現場担当の大工シンガー・サノケンこと佐野建太さん

それでは早速、ゑびすやの中を覗いてみましょう。

▲この日、完成見学会の参加者には、民泊施設宿泊者がもらえるスタッフお手製の「おせっかいまっぷ」が配られました

創造の新しいハコ、シェアキッチン

まず案内していただいたのは、南と東の2方面に、広く大きく設けられたガラス製の引き戸が特徴的なシェアキッチンエリアです。太陽の光と熱を、室内に優しく取り入れた、ミニマルなデザイン空間。そして、引き戸を大きく開口することで、甲府の中心でありながら野外の雰囲気を楽しむこともできるのです。

▲広く開いた扉から、お料理の良い香りと楽しそうな笑い声が溢れます。工事中から街ゆくたくさんの人々に声をかけられたそう

▲センターに設置されたキッチンは、作業スペースが最新の塗装モールテックスを施工しているため、水に強く安心

▲利用者は、カトラリーも全て自由に利用できます

▲幅広いお料理に対応できるようキッチン用具も用意されています。

▲生成りにゑびすやのロゴを入れたシンプルな暖簾が何とも粋

「大きなキッチンを中心に置きながら、決してキッチンが主役にならない空間を心がけました。あくまでも利用する人々が主役。外から見てもそう感じられるよう、敢えてキッチンを控えめにデザインしています。そして、使用する食器なども同様、利用者のお料理を邪魔しないシンプルなものを用意。利用者自身に、この空間を自由に色付けてもらいたいと思っています」
と設計士の坂野さんは話します。

▲キッチンについて説明をしてくれた、設計士の坂野さん

キッチンの奥には、8人が座れるテーブル席、そしてお手洗いも完備されています。できたお料理をこちらの空間でゆっくりと楽しめるので、年齢を問わず安心して利用できるのも嬉しいポイント。また、それ以上の人数であっても、立食スタイルであれば20人ほどが余裕を持って楽しめるでしょう。女子会やバースデイパーティー、お料理教室、会社の交流会など、利用用途はさまざま。新しいコミュニティ空間を実現したキッチンです。

▲シェアキッチンの奥にあるテーブル席は、8人が余裕をもって座れます

▲もちろん夜の利用も可能です。飲み会を開催するのもアリ

夢を追う本格志向には、こちらのレンタルキッチンを

シェアキッチンすぐ隣にあるキッチンは、カフェやパン屋さんなどをやりたいけれど、今一歩踏み出せないでいる人におすすめ。冷蔵庫、冷凍庫はもちろん、三口ガスコンロやオーブン2台、発酵器も完備された、まさに夢を追う人を応援したレンタルキッチンです。人が多く行き交う甲府の中心街で、自身の味をチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

▲広々としたキッチンスペースなので、ストレスを感じることなくお料理ができます

▲オーブンや発酵器、もちろん電子レンジもあります

▲手前のシェアキッチンの窓奥にある空間が、レンタルキッチンスペースです

▲作ったものを、この扉から一般のお客様に販売することが可能です。上半分の窓部分だけが開くので、ドアtoドアでの販売になります

どこかにかつてのゑびすやを感じる民泊施設

いよいよ楽しみにしていた民泊施設へ。専用の入り口から中に入ります。

▲民泊施設には、向かって左側の扉から入ります

玄関戸を開けると、土間と黒畳の和風なモダン空間が広がります。本棚には、雑誌や日本ならではの書籍が並び、何処と無く、古くから愛されている縁側を思わせる場所。
「甲府の街の中心にかつての賑わいを取り戻したい。この場所を旅の拠点にしてもらうことで、海外や県外から訪れた人にも甲府の街の魅力をもっと伝えていけるのではないだろうか。そんな想いもあり、この場所で民泊施設をすることに以前からこだわってきました。この辺りは、本当に面白いお店やスポットが多いんです。そのことをもっと多くの方に知っていただきたくて…」と武原社長は、ゑびすやで民泊施設を始めた経緯についても教えてくれました。

▲広く設けられた土間と黒畳が印象的な玄関兼共有スペース。奥には、お手洗いとシャワールームが完備されています。ゑびす様もにっこりと微笑みます

▲見学会に訪れた人々にも好評の場所でした

1Fで想いを聞いた後、客室のある2Fへ。少し急な階段ではありますが、かつてのゑびすやのものをそのまま活用した貴重な階段を上がった先に、2つのお部屋が用意されています。

浅葱鼠(あさぎねず)と名付けられたこちらのお部屋は、ハリの出た当時のゑびすやの天井をそのまま活用しながら、明るい色味の無垢床と伝統色である浅葱鼠色の入り口扉と壁をポイントにした洋室空間です。定員は2名。友人やパートナーはもちろん、お一人様でもご利用できるそう。

▲青緑色を帯びた渋い鼠色を浅葱鼠色と呼びます。太陽の光の入る明るい室内は、なんとも心地よい空間です

▲天井も高く、開放的。室内も広々としています

そして、もう1つのお部屋は、最大5名まで宿泊可能な和室のお部屋です。
こちらも、緑がかった茶色に鼠色を入れた利休鼠(りきゅうねず)という日本の伝統色を入り口扉に用いたスタイリッシュな空間。扉を開けると、畳が豊かに香り、懐かしくてホッとするような時間を訪れた人に届けてくれます。まるで高級ホテルのような贅沢なお部屋の窓からは、甲府の街並みや外を行き交う人々を眺めることもできます。

▲お部屋のサインもとっても可愛い。所々に昔のおもかげを見つけることができます

▲高級ホテルを思わせる贅沢な空間。畳のスペースに布団を敷くことで最大5名までの宿泊が可能です

ゑびすやをご案内していただいたところで、今回参加されていた何人かの方にもご感想を聞いています。
今後利用を考えている方へ、ぜひご参考にしてみてください。

▲(左から)甲府市内の物件オーナーでもある大森さん・VivitBase三枚目役でお馴染みの武原専務

・とてもお洒落で驚きました。甲府の中心で飲んだ時に利用するのもいいね。

▲ゑびすやの現場を手掛けた、大工シンガーのサノケンこと佐野建太さん

・夏の暑い日の作業は本当に辛かったです。でもこうして無事完成を迎えることができ、感慨深いです。ゑびすやの利用の仕方はさまざま。多くの方が集まる場所になることを願っています。

▲(左から)山梨に移住して、山梨市牧丘町で民泊施設もやっている遠藤さん、山梨県産だけのぶどうで作ったビネガーを製造しているアサヤビネガーの杉山さん、設計士の坂野さん

・細かなところまでこだわったデザインに驚かされました。昔の雰囲気が残っているので落ち着きのある空間に仕上がっています。シェアキッチン は今後活用してみたいななんて思いました。ちょっとしたお料理教室なんて素敵。女性が手を入れていることが随所に感じられる…そんな場所ですね。

▲見学会の後行われたレセプションパーティーにも多くの方々がお祝いに駆けつけていました。(写真中央)VivitBase 武原社長

・かつてのゑびすやのように、コミュニケーションの場になれたら嬉しいなと思っております。この街で長きに渡り愛されてきたゑびすやを再建できたことを誇りに思い、今後も日々精進してまいります。

甲府の街の古くて新しいニュースポット「ゑびすや」はいかがでしたでしょうか?どんな人でも気軽に利用できる場所…あなたも是非訪れてみてください。

▼料金とご利用方法はこちら


住所:〒400-0041 山梨県甲府市丸の内1-14-4
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Instagram:https://www.instagram.com/ebisuya_kofu//

取材・執筆・撮影/堀内麻実(anlib株式会社)

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