東日本大震災の発生以来、災害に対する私たちの危機感は、確実に高まっているのではないでしょうか。
近年では、地震だけではなく異常気象による大雨・洪水また、コロナウイルスによる生活の変化も一つの災害として、世界的に災害に対する危機感が増してきています。
やがて来る「その時」に備えるために皆様は準備できていますか。
今回の防災特集を機に改めて防災に対して考え、身の回りについて確かめるきっかけにしていただけたら幸いです。
是非、ご覧ください。
いざという時に役に立つ、実践的なお金をかけない防災。
防災についての見学・体験・訓練が出来る総合施設。
県内はもちろん、東京、埼玉、神奈川県など隣県、遠くは愛知県や広島など、他県からの見学者も多いそうです。
今回の取材では、消防隊員として長きに渡り災害現場で救助活動に携わってきた、防災指導員の小澤さん(山梨県防災ヘリ あかふじ初代隊長・甲府消防本部高度救助隊初代隊長)からマニュアルには載っていない、ここだけの現場のお話を伺いました。
ご家庭ですぐできる、防災準備。
「いつ、どこで起こるかわからない災害に対して、体力的に弱い方、高齢の方、備えたいと思っても経済的に備えることができない方々が犠牲になりやすい。
そこで、どうしたら良いか、なるべくお金のかからない防災が大事なんです。」
いろいろな現場で人の命に接してきた小澤さん。
家具の固定さえしておけば外へ逃げられた、という現場も多く見てきたとお話して
くださいました。
“まずは家具の固定から。”
・市販品のつっぱり棒・L型金具を使う。
・新聞紙2部とガムテープで作った簡易転倒防止具でも震度6強の『横揺れ』までなら家具は倒れない。※下が畳の場合
“お家で簡単簡易トイレ”
・家の中にある物で作る簡易トイレの作り方
(必要なもの:液体除菌剤、テッシュペーパー、黒いビニール袋。家庭で使っているゴミ箱)
1.画像のように、ゴミ箱に黒いビニール袋を入れる。
2.手の指4本を揃えたところにトイレットペーパーを5回巻きつけ、それをゴミ箱に入れたビニール袋の上(底)に置く。
3.そこに、ハイターなどの液体除菌剤をキャップに1杯入れて、用を足したらOK!
(※ 1杯の量は500ml程度の容器のキャップの場合)
4.ビニール縛って終わり。
※なお、避難所の場合は、食中毒などの感染症対策を兼ね、洋式便座を利用してもOK。
便器の場合は、便座にも被せる。
家の中で安全なのはトイレ?入浴中は?運転中は?
“地震だ!家の中では一番安全なのはどこか?”
・皆さんのイメージでは「トイレ」が安全。しかし密閉に優れた現在のトイレでは、揺れが原因でドアが開かなくなることがある。
・廊下のある家は「廊下」が安全。廊下には重い家具も飛んでくる家具もない。
・一般家庭の廊下の幅は90センチ~1メートル前後。床から天井までの高さは2.5メートル前後。両サイドの壁が倒れても三角形の隙間ができる。そして、廊下の先には玄関があるので外に脱出しやすい。
※これで阪神淡路大震災でも新潟中越地震でも実際に助かった人が多数いる。
・廊下が無い新築の家やアパートの場合は「玄関」が一番安全。
“お風呂に入っている時はどうする?”
・揺れが止まったら服を着て出る?裸で飛び出す?
・身体をふき、服を着る間に脱衣所や部屋の家具が倒れて来る。
「男の人は、タオル1枚を腰に巻いて屋外へ出ればいいけど、女の人は飛び出せません。
だから女の人は怪我が多い。1度目の揺れで家が全壊や半壊することはほとんど無いので、
『バスローブ』『ガウン』『いらない浴衣を膝までの長さで切ったもの』を日頃から脱衣場や部屋に用意しておき、いざ避難!!のときは羽織って逃げてください。」
“車の運転中は?”
「地震が来たら車を道路の左側や空き地とか広場の安全な所に止めて、鍵は着けたまま貴重品を持って逃げる。緊急車両が通行するとき、あなたの車を移動しなくてはなりません。鍵がかかっていると最悪は車を壊すしかない為、時間がかかってしまいます。」
・鍵をさす車じゃない時は?
「スマートキーの場合、持ち主が離れればロックされてしまう。
この場合は助手席の窓を開けて、スマートキーを置いて逃げてください。」
予想以上!!地震体験・煙体験
貴重なお話の後は施設内のパネルや模型を案内していただきました。新聞やテレビでは伝えきれない災害時の状況などが展示されています。
震度は揺れ、マグニチュードはエネルギー。
震度を表す数字は7までで震度8は存在していません。
同じ震度7でも、新潟中越地震、東日本大震災、熊本地震など、揺れの大きさや被害には差がありました。
震度1~6強までと違い、震度7には下限目安はあっても上限は無いのと同じです。
自分の命をいかに守るのか、防災頭巾やヘルメットは身近に置くべきですね。
実際に施設内にある地震体験装置で震度7の体験と住宅火災を想定した煙体験をスタッフの岩田が体験しました。
【まずは、施設内にある地震体験から】
近い将来起きる東南海地震ですとアナウンス。
リアルすぎる、かなり緊張します。
うわっ!来た!これが震度7の揺れ⁉
部屋もテーブルも全てが激しい横揺れ、頭の中が真っ白、
だだテーブルにつかまったままで揺れが終わった。
あれ程説明を聞いたのに~!ごめんなさいアホすぎる~!
今度はぜったいテーブルの下に潜り込むと再度挑戦!
何とか潜り込み、脚につかまり亀のポーズ。
(体育座りや横座りは危険だそうです)
【移動型の地震体験車でも体験させていただきました】
・地震体験車は想像越えの激しい揺れが…。
同じ震度7でも幅があると説明されて始まりました!
なに、これっ!もう揺れすぎ!
揺れに翻弄されてとてもテーブルの下に潜るどころじゃない!
身体がぶっ飛びそう!固定されたテーブルにしがみつくしか出来ない。
この世の終わりかと思う程の揺れ。
【続いて火災を想定した煙体験を体験しました】
姿勢を低くして目をつぶり、もくもくとした煙の通路に入る。
目をつぶっているから真っ暗、手すりにつかまってゆっくりすすむ。
やっと出口、少しむせてしまった。
本物の煙で有害だったら、これはかなりヤバいです。
火災の被害の多くは煙が原因と言うのが分かりました。
“ここで小澤さんの説明。”
「煙が出たら、煙と熱い空気を吸わないため鼻と口を押え、姿勢を低くしてゆっくり逃げる。
急いで逃げると対流で後ろの人に煙が回り危険です。
酸素が燃えると熱風となり、上階にいる人は、その熱風を吸い、気道や肺が焼けて呼吸ができなくなり亡くなる。
学校や広い所の場合、まだ煙が近くに無ければ走って逃げてください。(姿勢を低くして逃げるとバランスが悪くなり速やかな移動が難しい)
就寝中に火事が起きた場合、ハッとなって煙を吸い込んでしまうので、
その時は枕やクッションを口に当てて、1度、息を吐いて深呼吸をする。
煙や火がある時は恐怖で心拍数が上がるので急がずに、自分のいる場所から一番近い出口へ逃げる。
冷静に逃げる事が大事です。
お住まいの地域のハザードマップの情報確認
ご自身の住まいがどのような場所にあるかご存じですか。
「ハザードマップ」には、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などが表示されています。
東海地震のようなプレート型の地震には、既存の耐震建物は対応していますが、断層型の地震場合は、建物がどんなにしっかりしていても地面が落ちる場合があり、耐震も免振も関係なく崩れる場合があることを認識しておく事も必要です。
各市町村のHPにてハザードマップを確認する事ができますので
この記事を期に、一度ご確認してみては、いかがでしょうか。
▼甲府市のハザードマップリンク
https://www.city.kofu.yamanashi.jp/bosai/bosai/hazard/index.html
今回の取材で、現場を知る方の生きたお話を聞くことが出来、生きたお話は、大切な人を守る知識になり、そこで得た知識は、人を救う事ができると感じました。
山梨県立防災安全センターではマニュアルにはない、子供や成人、高齢者、障がい者それぞれの人に合わせた防災指導を行っています。体調に合わせた講習をする為の準備があるので事前予約が必要になります。詳しくはHPをご覧ください。
質問にもその人の状況に合わせて答えてくれます。
持ち帰れる資料もたくさんあり、家族で防災時のシュミレーションを話合うきっかけになると思います。
自分の命を、大切な人の命を守る為に、体験から学ぶ事の大切さ。
皆様にも是非、おすすめ致します。
山梨県立防災安全センター
住所:〒409-3834 山梨県中央市今福991
TEL:055-273-1048
閉館時間:午前9時~午後5時まで
休館日:第2・第4日曜日、祝祭日、12月29日~1月3日
入場料:無料
URL:https://yamanashi-bousai.or.jp/
「食料・飲料等の備蓄」ライフライン停止への備え
防災の知識を得たところで、早速防災用品をそろえましょう!!
甲府市の防災用品を取り扱う「山梨新興徽章」桜井様にお話を伺いました。
今、防災食は社内プレゼントにも喜ばれているそうです。(私もぜひ欲しい!)
そんないざという時に備えておくのにピッタリなお店が、この新興徽章さんです。
お手頃価格を揃えた商品をご紹介して頂きました。
“一番最初に困るのは電気。”
まずスマホが一番先に充電が切れるそう。(ガラケーなら充電持つからいいですよね)
ラジオ・ライト付き手回し充電器なんて、貰ったら嬉しいけど、これは買いたい♡
“家で被災するとは限りません。”
実際には、防災グッズはその方、その方の状況次第なんです。
どれ位必要か実際に震災を経験しないとわからない。
用意した物が的を得ているかもわからないとお話してくれました。
※下記の商品は、気になる商品の説明を聞き、その中でスタッフイチ押しの商品を載せさせていただきました。
身近な方の震災体験談。
「大学時代の友人が阪神淡路大震災を経験して、今でも必ず枕元には運動靴の中にまっさらな靴下を入れ、靴を裏返しにして置いているそうなんです。
足が蒸れたりこすれたりするから靴下は絶対必要で、とにかく家で被災した場合、運動靴がないと家から出られません。ガラスも割れているので、スリッパでは、足を切ってしまいます。足の裏を切ってしまうと歩けないので、避難所を何度も水や食料を運ぶ為に、往復が出来なくなってしまいます。
医者もなかなか居ないので、傷口が化膿してくる。
破傷風などになったら大変ですよね。
一度恐ろしい体験をすると習慣になりますね。」
桜井様大変お忙しい中、為になるお話をありがとうございました。
なかなか市販には無い商品ばかりで参考になりました。
皆様もぜひ、いかがでしょうか。
株式会社 山梨新興徽章
バッチ・提灯・防犯用品・記念品・褒賞品
住所:〒400-0806 甲府市善光寺1丁目6-8
TEL:055-233-8552
営業時間:(平日)8:30~19:00、(土曜)9:00~16:00
※日曜祝祭日・お盆・年末年始は休業
URL:http://shinkoukishou.co.jp
いかがだったでしょうか。
いつ何処で起こるか分からない災害。
正しく恐れ、その時に備え準備しておく事で、未曾有の大災害がいつ起きたとしても乗り越える事ができるのではないでしょうか。
今回の特集をきっかけに災害に対する防災意識を高めていただけたら幸いです。
※取材後、家に戻りすぐに下駄箱から厚底のスニーカーを取り出し、新しい靴下を入れてベット下に裏返しでおきました。とりあえず後はおかゆを備蓄しようと思います。(岩田)